外断熱工法とは、躯体の外側に断熱材を配置する断熱工法です。欧米では、コンクリート建造物の標準的な断熱工法としてドイツ・北欧を中心に数十年も前から使用されています。日本では内断熱工法が標準的に使用されてきましたが、近年急速に広まる環境への配慮から「生活環境の向上」「建物の長寿命化」「CO2発生の低減」に効果があると言われている外断熱工法の注目が高まってきています。
躯体が、雨水・外気の温度変化・紫外線・粉塵・塩害などの影響を直接受けないので建物長寿命化が期待できます。また、放熱を抑えることによりヒートアイランド現象を抑制し、CO2の発生の低減にも効果があると言われています。
躯体の外側で熱を遮断する事により、蓄熱効果をもたらし、熱損失の少ない効率的なエネルギー利用が期待できます。
その結果エアコンを付けたり消したりの使い方ではなく、小さい容量で一定の時間使うことで室内は安定した状態になり、ドラフトショックから開放されます。また、建物内の温度差が小さい環境となり、室内間のヒートショックの低減にも効果があるとされています。
■ライフサイクルコストの低減
一般的に、外断熱工法は従来の内断熱工法に比べて建築コストが約1割ほど高いと言われています(規模・形状により異なります)。しかし外断熱工法では、「冷暖房効率による電気使用量低減」「メンテナンス工事のコスト低減」「建物の長寿命化による建替えスパンの改善」等、ランニングコストを抑えるメリットが多く、外断熱工法の利点を生かし運営する事により、ライフサイクルコストを低減する事が可能とされています。
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■内部結露の抑制
躯体内部で露天分布よりも温度が下がると結露域が発生し、内部結露が生じます。内部結露は鉄筋を錆びさせ急速に建物の品質を低下させます。外断熱工法は、躯体の外部から寒気を遮断する為温度分布を上昇させ、結露域の発生を抑制する効果があると言われています。

■ヒートアイランドの抑制
外断熱工法は、日中(夏季)の外気温や日射熱の影響でコンクリートが熱を蓄えることを防ぎ、夜間に建物からの放熱を抑える効果があると言われています。午後8時30分時点で外断熱マンションは内断熱タイル貼りマンションに比べて外壁表面温度は約6℃低くなる調査結果もあります(綿半鋼機(株)調査)。放熱を抑える事によりヒートアイランド現象を抑制し、CO2の発生の低減に寄与すると言われています。

■断熱材が躯体を保護する事による耐用年数の向上
躯体が雨水、外気の温度変化、紫外線、粉塵、塩害などの影響を直接受けないので、これらによる劣化が起こりにくく耐久性の向上が期待できます。建物の劣化を防止し長寿命化する事により、永く住み続けられる建物が実現できることになります。

■その他に、この様な効果も期待できます。
- ◎ヒートブリッチ箇所の減少
- 建物全体をすっぽりと覆う事により、熱の伝わる部分「ヒートブリッチ」を減少させると言われています。
※ヒートブリッジとは、熱の通り道となる断熱欠損または未警戒な部分のことです。
- ◎改修工事・メンテナンス工事の容易性
- 基本的に工事は建物の外側からのみ行なうので、足場の設置と工事開口部の養生程度の制限で、入居したまま改修工事・メンテナンス工事を行なうことができます。